第5章 されど女は強い ③ くノ一忍法帖 098P
「なんだ、それは？その、いったい？」
「自分で言っているでしょう、新しい契約はすべて任せるって！」
逆に女は、平然としながらテープから流れてくる言葉尻をとらえて、「こう言ったわ、男に二言はないでしょう」と鼻にかかった甘い言い方であるが、ずばり核心を突いてくる。
いくらベッドの上で、女の誘いに弾みで言ったことであれ、約束は約束であるというものだ。
たとえ男が、そんなものは無効だと啖呵（たんか）を切ったところで、「じゃあー、このテープどこかに流そうかな」と報復に出た場合は、窮地に追い込まれることになりかれない。
こうして、男をのっぴきならない状況に追い込むなどということは、ちょっと頭の働く女にとってはお手のもので、「私は、コレでチョンになりました」と男が小指を立てながらべソをかく、という図はこのことを指すというものだ。
戦場での女は、「くノ一」と心得るべし。
さまざまな「淫（陰）謀」をめぐらし、あらゆる「妊（忍）法」の術を使ってくるのである。
続く・・・
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