書籍紹介

第4章 現代女性の悩み ⑥ 女性のセックスレス 079P

金沢の市街地を挟んで、南西側に流れる犀川と北東側に流れる浅野川は、何かと対照的に比較される。

流れがおだやかで、概して川幅も狭く、川辺や橋の上から、淡い水を覗き込むにふさわしいのが浅野川。

東京を例にとれば下町風の庶民的であり、文豪泉鏡花はこの浅野川をこよなく愛して、著書に繰り返し描き続けた。

これに対して、悠々たる川幅と水量をほこり、寺町の丘陵地帯がただちに断崖(だんがい)となって落ち込み、高台から堂々と見下ろすのが犀川の眺望である。

寺院群や高級料亭、少し下れば西茶屋街の一帯は、伝統的に武士階級によって築き上げられ洗練されてきたもので、鏡花とは正反対に文人室生犀星が、この川縁に自分を立たせながら、「うつくしき川は流れたり、そのほとりに我は住みね」とこよなく愛した美しい犀川を特徴づけて描いている。

S男さん(33歳)とD子さん(35歳)夫婦は、二年前に金沢の寺町台にある、高級マンションを思い切って購入した。

結婚八年目であるというが、夫婦共働きでなければ、そんな賛沢はできない。

二人の所得・収入の合算をべースに、「片Wや香林坊が目の前よ、仕事や買い物にすごく便利じゃない」というD子さんの意見と、

続く・・・

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