書籍紹介

第5章 されど女は強い ⑥ 暴力に耐えて 112P

な光景はどこにも見当たらない。

「駆け込み寺」に飛び込むようにして、相談に訪れたT子さん(40歳)は、そのやつれた表情が、化粧けのない顔や粗末な服装から一層惨めに感じられる。

大手企業の地方工場に勤めていた、サラリーマンであるW男(45歳)と結婚して15年になり、二人の間に三人の子供がいるという。

しかし、現在の中高年を襲う大崩落現象は、W男の会社とて決して無縁でなく、合理化のための人員削減で、リストラにあってしまったのだ。

ところで、男の自己存在のよりどころを会社組織にもとめていた、日本社会のその年齢層にとっては、まさに土台の崩壊で、崖(がけ)に突き落とされるようなものである。

そして、もたらされる生活的不安、精神的不安が無力感にまで深まり、悲嘆と哀れみしかない。

W男(45歳)は、幸いに再就職が決まったが、そこでの給料は前職場の五割減。その挫折感を癒し、はけ口を求めるようにして、何よりも好きであったギャンブル(=パチンコ)に、

続く・・・

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