書籍紹介

まえがき 001P

女だてらに、小説かドラマでしか知識のなかった探偵や興信業、あるいは調査業などと呼ばれるものを、冒険のごとく北陸の地ではじめて事業化し、幸か不幸か、人と人とのトラブルにかかわり、人のもう一つの顔を覗きながら、初めの頃は毎日がまるで戦場のように駆けずり回ったなつかしさ……、そして、ここに来てようやく私なりに、問題の本質部分を見抜き、解決策を見いだす力量が身についたと認識したときには、既に三十五年が過ぎ去っていた。

その間、扱ったトラブルの中身は、人それぞれ考え方や生き方が異なるように千差万別であり、その対応や回答もどれ一つとして絶対というものがない。

つまり、世の中はそれほど単純にできているものでなく、トラブルはひとつの原因でひとつの結果が表現されるわけではないのである。

たとえば絡んだ糸を解きほぐすにも、人にある百八の煩悩が働いて、ほぐそうとすればするほど、かえって複雑な毛玉にどんどん膨れてしまい、

続く・・・

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