書籍紹介

第6章 こんな女は問題だ ③ 売春の行きつく先は 135P

げていたが、そう言っていた本人自身が、昭和五十年初め頃、発生した男女の痴情絡み殺人事件の被害者になったと聞いたときは、予言を地でいく運命の皮肉に、思わず背筋が凍ったことを鮮明に覚えている。

今思えば、T子さんは「人の世に明かりと、闇(やみ)の部分がある」という現実を教えていたのであり、また、人はこれを「必要悪」と呼ぶものもいる。

ところが、どうも最近の風潮は、光の当たるところに目が行き過ぎて、そこには思わぬ「落とし穴」があることに無知なのか、あるいは知ろうとしないのか、結局は「娘たちがやがて女になり、母親になる。こんなことでいいのだろうか」と憂い、嘆くばかりの世相のような気がしてならない。

そう思うと、憎まれ口を叩かれようが、よっぽど昔のほうが現実を認識して、そんな世界に包囲網を被(かぶ)せて一角に押し込め、その結果、現代の頭で考える理想より、女性全体にとって幸福であった、と言わざるを得ないのである。

続く・・・

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